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顕微鏡学:電子顕微鏡における振動分光法

Nature 514, 7521 doi: 10.1038/nature13870

赤外放射、ラマン散乱、中性子、低エネルギー電子、非弾性電子トンネル効果を用いた振動分光法は、結合配置の解析や化合物の特定など、多くの重要な材料特性を精査できる強力な手法である。こうした分光法の空間分解能は、鋭い金属ティップが存在すれば数十ナノメートルや数オングストロームにまで高めることができるが、通常は1 μm以上である。振動分光法が透過電子顕微鏡の空間分解能と適応性も兼ね備えることができれば、多種多様なナノ構造体の振動モードの研究が活発化するだろう。残念なことに、これまで電子顕微鏡の中で行われた電子エネルギー損失分光法は、エネルギー分解能が低過ぎたので、そのような長所の組み合わせを実現できなかった。しかし、最近の進展によって、走査型透過電子顕微鏡における電子エネルギー損失分光法で達成可能なエネルギー分解能が約10 meVまで向上したため、今では電子顕微鏡内で振動分光測定を実施できるようになった。今回我々は、こうした進歩をもたらした革新的技術について説明するとともに、水素の検出を含む無機材料や有機材料への応用例を提示している。さらに、振動信号には高空間分解能成分と低空間分解能成分があり、高分解能成分を利用してナノメートルレベルの分解能で振動の特徴をマッピングでき、低分解能成分を利用してサンプルのすぐ外側にビームを位置合わせする、つまりおおむね照射損傷を回避できる「すれすれ」の分光解析が実施できることも実証している。

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