がん:発生の際の不適切なp53活性化がCHARGE症候群の特徴を誘導する
Nature 514, 7521 doi: 10.1038/nature13585
CHARGE症候群は多発奇形症候群で、患者は眼のコロボーム、心奇形、後鼻孔閉鎖、成長と発達の遅滞、尿生殖器低形成、耳奇形など多様な表現型を示す。CHARGE症候群の70~90%の症例は、ATP依存的クロマチンリモデリング因子をコードするCHD7遺伝子の変異によるものであるが、その多様な表現型の基盤となる諸経路についてはよく分かっていない。意外にも、腫瘍抑制タンパク質p53の転写活性のない安定化多様体(p5325,26,53,54)を、野生型p53対立遺伝子(別名Trp53)と共に発現するノックイン変異マウス系統では、コロボーム、内耳と外耳の奇形、心臓流出路異常、頭蓋顔面異常など、CHARGE症候群に特徴的な多くの表現型と関連する妊娠後期の胚性致死が見られた。我々はp5325,26,53,54変異タンパク質が、野生型p53を安定化して過活性化し、それがその標的遺伝子を不適切に誘導し、発生中に細胞周期停止やアポトーシスを引き起こすことを見いだした。重要なことに、これらの表現型は野生型p53対立遺伝子があるときのみに見られ、p5325,26,53,54/−胚は完全に生存可能だった。さらに、CHD7はp53プロモーターに結合してp53の発現を負に調節することができ、また、マウス神経堤細胞あるいはCHARGE症候群の患者由来の試料でのCHD7の欠失は、p53の活性化を引き起こすことが分かった。特に、p53のヘテロ接合性はChd7ヌルのマウス胚の表現型を部分的に救済することが分かり、これはCHD7欠失によって生じる表現型へのp53の関与を示している。従って、発生の際のp53の不適切な活性化がCHARGE表現型を促進し得ることは、p53が発達障害症候群に重要な役割を担っているという考えを裏付けるとともに、CHARGE症候群の基盤となる機構についての重要な手掛かりをもたらす。

