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がん:PRC2の欠失はRasによる転写を増幅してBRD4に基づく治療への感受性をもたらす
Nature 514, 7521 doi: 10.1038/nature13561
ポリコーム抑制複合体2(PRC2)はさまざまな種類の腫瘍で発がん作用を発揮する。しかし、造血器悪性腫瘍の一部ではPRC2構成因子の機能喪失変異が見られ、この複合体はがんにおいて2通りの相反する働きをしていると考えられるが、それについては解明が進んでいない。今回我々は、ポリコーム群遺伝子SUZ12がNF1の変異と協調することで、PNS腫瘍、高悪性度神経膠腫および黒色腫において腫瘍抑制因子として働くことを示すデータを、ゲノムや細胞、マウスモデルから得た。NF1はRas GTPアーゼ活性化タンパク質(RasGAP)をコードしており、欠失するとRasが活性化して、がんを引き起こす。SUZ12の欠失は、クロマチンへの影響を介してRasが引き起こす転写を増幅し、それによってNF1変異の影響を増強することが明らかになった。しかし重要なことに、SUZ12の不活性化は、これらのがんにブロモドメイン阻害剤への感受性を持たせるエピジェネティックな切り替えも引き起こす。総合するとこれらの研究結果からは、PRC2複合体とNF1およびRasの意外な結び付きが明らかになるだけでなく、幅広い種類のがんへの適用が期待できるエピジェネティクスに基づく治療戦略も見えてくる。

