Letter

考古学:インドネシア・スラウェシ島の更新世の洞窟壁画

Nature 514, 7521 doi: 10.1038/nature13422

約4万~3万5000年前のヨーロッパでは、岩壁に残る芸術(動かせない岩の表面に制作された絵画、素描および彫刻)や持ち運べる芸術(彫像など)といった高度な芸術作品が大量に出現した。しかし一方で、それ以外の地域、特にウォーレシアやオーストラリアなど、現生人類(Homo sapiens)が5万年前までに定着した南アジアや極東の初期人類移動経路上には、年代が確定された同等の芸術作品が全くと言ってよいほど存在しておらず、長らく考古学上の謎とされてきた。今回我々は、インドネシア・スラウェシ島のマロス県カルスト地帯の洞窟遺跡7か所で見つかった、人類の手形ステンシル12点および具象的な動物の描写2点を覆うサンゴ状鍾乳石の壁画と直接接している部分について、ウラン系列年代測定法により年代決定を行い、スラウェシ島に伝わる岩壁画の年代が、少なくともヨーロッパ最古の壁画の年代に匹敵することを示す。マロスで見つかった最古の壁画は3万9900年以上前のもので、知られるかぎりで世界最古の手形ステンシルである。また、3万5400年以上前に描かれたバビルサ(シカイノシシ)の絵は、年代の確定した具象的な描写として、世界最古とまでは言い切れないが最も古いものの1つである。今回の結果からは数多くのシナリオが推測されるものの、約4万年前に更新世のユーラシア大陸の両端で人類が岩壁画を制作していたことは、明白である。

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