Letter

気候科学:グリーンランド氷床下における氷河下排水系進化の直接観測

Nature 514, 7520 doi: 10.1038/nature13796

グリーンランド氷床の季節的加速は、クレバスや氷河甌穴(氷河上の水と氷床底とを連結する鉛直の流路)を介した氷河底への融氷水輸送の変動に対する氷河下水文系の動的応答の影響を受ける。融氷期が続くにつれて、氷河下水文系は氷河上の融氷水をより効率良く放出するようになるので、氷河底の水圧が減少し、表面の融解に対する氷の移動速度の応答が和らげられる。しかし、氷河下水圧の直接観測が乏しいため、氷河下水文系の空間的・時間的進化はまだよく分かっていない。本論文では、氷の移動速度は氷河甌穴の水頭とよく相関しているが、近くの(0.3~2 km離れた)ボーリング孔の水頭とは位相がずれており、氷河甌穴は氷河下水文系の効率の良い流路と連結していて、氷の移動速度の日周変化や数日に及ぶ変化を主に支配していることを示す。今回のグリーンランド西部のPaakitsoq地域における氷河甌穴とボーリング孔の水頭と氷の移動速度の同時測定は、氷河甌穴と連結した流路が氷河上の融氷水を運ぶ能力の変化では、融氷期の後半に氷の移動速度が低下する傾向を説明できないことを示している。その代わりに、こうした観測結果は、氷河下水文系で流路ができていない地域の連結度の変化によって、季節後半の氷の移動速度の低下が生じる可能性があることを示唆している。融氷期のダイナミクスが融氷期の終わりを超えて氷の移動速度に影響を及ぼしているので、こうした氷河下水圧の空間的・時間的変動の解明はますます重要になっている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度