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地球ダイナミクス:2011年東北沖地震後に卓越する粘弾性緩和

Nature 514, 7520 doi: 10.1038/nature13778

沈み込み帯での大地震後には、地殻変動が複雑な変動パターンを示しつつ発生する。この地震後変動は、主に地震破壊で生じた応力の粘弾性緩和と、地震後も継続するすべり(余効すべり)、および断層の異なった部分での再固着が原因である。地震後の測地学的観測により地球のレオロジー的性質と断層のふるまいを研究する場合は、破壊域近傍の短期(2~3年)の変動は主に余効すべりにより起き、粘弾性はより長期の変動にのみ重要となると仮定することが一般的である。しかし、この仮定の妥当性を従来の測地学的データにより検証することは困難である。本論文では、東北沖地震直後に行われた新しい海底GPS(全地球測位システム)観測によって、短期の地震後変動にも粘弾性緩和が主要な役割を果たすことを示す明確な証拠が得られることを報告する。このデータは、陸上GPS観測点での海向きの動きとは反対向きの、海溝地域での速い陸向きの動きを明らかにしている。過渡的粘弾性マントル・レオロジーの数値モデルを用いることで、陸向きの動きは、これまでは断層近傍の観測がなかったために分からなかった、逆断層型地震の非対称破壊により引き起こされた応力が緩和する過程の結果であることを示す。この発見は、弾性的な地球を仮定したこれまでのモデルが、破壊域深部側での余効すべりを大幅に過大評価し、破壊域浅部側の余効すべりを過小評価していることを示しており、このような見積もりに基づいた断層摩擦の知見が見直される必要があることを示唆している。

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