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分子生物学:飢餓状態の酵母では、プロモーターの塩基配列がmRNAの細胞質内での位置と飜訳を方向付ける

Nature 514, 7520 doi: 10.1038/nature13578

ストレスや栄養制限に対する応答に広く共通する特徴は、生存に重要なタンパク質をコードする遺伝子の転写の上方制御である。このような条件下では多くの場合、タンパク質の全体としての合成量は低下し、それによってタンパク質発現のレベルではストレス応答が低下する。例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、グルコース飢餓の際には飜訳が迅速に抑制されるが、ストレスやグルコースで抑制される遺伝子の多くは転写が亢進する。今回我々は、リボソームのプロファイリングと顕微鏡を使って、転写が上方制御されるこのような遺伝子群は2種類に大別されることを明らかにした。一方の遺伝子群が産生するメッセンジャーRNA(mRNA)は、グルコース飢餓時にも飜訳され、細胞質中に分散していて、その中には多くの熱ショックタンパク質のmRNAが含まれる。もう一方の遺伝子群が産生するmRNAは、グルコース飢餓時には効率的に飜訳されることがなく、Pボディやストレス顆粒と共に巣状に集まって存在する。こちらのmRNAには、グルコース代謝に関わる多くのmRNAが含まれている。意外にも、これら2種類のmRNAの局在場所の相異やタンパク質産生を指定する情報は、プロモーター塩基配列にコードされている。熱ショック因子1(Hsf1)に対するプロモーターの反応性によって、グルコース飢餓時に細胞質中に分散して存在することとタンパク質産生の増加が指定される。従って、プロモーターの塩基配列は、mRNAのレベルだけでなくmRNAの細胞内での局在場所やその飜訳効率にも影響していて、細胞が環境条件に応じてタンパク質生産を調整できるように働いている。

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