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がん:内皮細胞のFAKターゲッティングは、腫瘍をDNA損傷治療に対して感受性にする
Nature 514, 7520 doi: 10.1038/nature13541
化学療法抵抗性は、がん治療における深刻な制約となっている。最近まで、このような制約に関する研究のほとんどは、腫瘍細胞に限られていた。今回我々は、内皮細胞が化学療法感受性を調節する新規な分子機構を明らかにした。我々は内皮細胞でのFAK(focal adhesion kinase、別名PTK2)の特異的ターゲッティングが、腫瘍細胞でDNA損傷治療に対する感受性を誘導するのに十分であり、この方法でマウスでの腫瘍増殖が阻害されることを確認した。この研究の臨床的関連性は、血管でのFAKの低発現が、ヒトリンパ腫の完全寛解に結び付くという結果により裏付けられた。内皮細胞のFAKを欠失させると、血管機能自体には一見したところ影響がないが、ドキソルビシンを投与したマウスや放射線治療を行ったマウスの血管周囲にある腫瘍細胞区画ではアポトーシスが増加し、細胞増殖が低下した。機構としては、内皮細胞のFAKは、in vivoおよびin vitroでDNA損傷により誘導されるNF-κB活性化と、内皮細胞からのサイトカイン産生に必要とされる。さらに、内皮細胞でFAKが失われると、DNA損傷により誘導されるサイトカイン産生が低下し、そのためにin vitroとin vivoでDNA損傷療法に対する腫瘍細胞の化学療法感受性が増強される。まとめると我々の結果は、内皮細胞のFAKが腫瘍の化学療法感受性の調節因子であることを明らかにしている。また、この原理証明データは、内皮細胞FAKの特異的ターゲッティングによる化学療法感受性調節という、新しい有力な方法を開発するためのスタート点となると予想される。

