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農学:土壌の高濃度ホウ素に対するコムギの在来品種および優良品種の適応の分子基盤

Nature 514, 7520 doi: 10.1038/nature13538

多くの作物生産環境では、環境の制約条件が収量を厳しく制限しており、多様性の利用拡大が育種の将来の進歩を支えることになると考えられる。半乾燥環境ではホウ素の毒性が生産力を制限しており、この問題への取り組みには、遺伝的改良が唯一の有効な戦略となっている。コムギの育種では、そうした環境での収量を維持するために、在来品種由来の遺伝的多様性が探索され、使われてきたが、主要な耐性座位にある遺伝子がどのようなものなのかは分かっていなかった。今回我々は、コムギのホウ素耐性に大きな影響を与える2つの量的形質遺伝子座(Bo1Bo4)の基盤となっている、根に特異的なほぼ同一のホウ素輸送体遺伝子を見つけたことを報告する。高濃度のホウ素に対する耐性は、四倍体の遺伝子移入、分散した遺伝子重複、および遺伝子構造や転写産物量の変動といったゲノムのさまざまな変化と関係していることが明らかになった。多様な農業地域に由来するパンコムギおよびデュラムコムギの栽培品種や在来品種から、一連の対立遺伝子が見つかった。今回の結果は、育種者が選択の過程で、機能の異なるホウ素耐性対立遺伝子を特定の環境にあてがってきたことを示している。コムギのホウ素耐性に関する今回の特性解析は、この新たなコムギゲノム情報資源が、作物の改良を支えてきた重要な適応過程の解明に有効であることを示している。

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