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がん:DNA損傷が誘導する白血病細胞の分化は抗がん障壁となる
Nature 514, 7520 doi: 10.1038/nature13483
自己再生は、正常な幹細胞およびがん幹細胞の両者に見られる際立った特徴である。正常な造血幹細胞の再生能が活性酸素種やDNA二重鎖切断の蓄積によって制限されることから、我々はDNA損傷が白血病性の自己再生と悪性の造血も抑制するのではないかと推測した。本研究では、B細胞リンパ腫の抑制因子であるヒストンメチルトランスフェラーゼMLL4が、幹細胞活性およびMLL–AF9がん遺伝子を持つ急性骨髄性白血病の進行型への変化に必要であることを示す。MLL4の欠失は、骨髄造血および白血病芽細胞の骨髄分化を促し、急性骨髄性白血病による死からマウスを保護した。MLL4は抗酸化応答と関連する転写プログラムを調節することで、その機能を発揮する。活性酸素種スカベンジャーあるいは異所的なFOXO3の発現が加わると、MLL4−/− MLL–AF9細胞がDNA損傷から保護され、骨髄の成熟が阻害される。MLL4の欠失と同様に、ATMあるいはBRCA1の欠失により形質転換した細胞は分化しやすくなるため、ゲノム完全性の消失が骨髄分化を促進すると考えられる。実際、制限酵素により二重鎖切断を誘導するだけで、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子p21Cip1(Cdkn1a)の活性が必要なMLL–AF9芽細胞の分化を誘導することができた。以上より、急性骨髄性白血病では、がん遺伝子が誘導する分化障壁の強化に、ゲノム守護因子が予想外の腫瘍促進作用を果たしていることが明らかになった。

