がん:eIF4FはがんBRAF阻害/MEK阻害療法に対する耐性の中核である
Nature 513, 7516 doi: 10.1038/nature13572
BRAF(V600)変異型腫瘍では、キナーゼであるBRAFもしくはMEK、またはその両方を標的とする薬剤への耐性機構の多くが、RAS–RAF–MEK–ERK MAPK(mitogen-activated protein kinase)シグナル伝達経路の再活性化か、ERKとは独立した別のPI(3)K–AKT–mTOR経路の活性化、あるいはカスパーゼ依存的なアポトーシスカスケードの変化に依存している。3つの経路はいずれも、真核生物翻訳開始複合体であるeIF4Fの形成調節に収束する。この複合体は、メッセンジャーRNA(mRNA)の5′末端にある7-メチル化グアニンキャップ(m7G)に結合することで、特異的なmRNAの翻訳を調節する。本研究では、eIF4Eキャップ結合タンパク質、eIF4G足場タンパク質およびeIF4A RNAヘリカーゼからなるeIF4F複合体の持続的な形成が、BRAF(V600)変異型の黒色腫、大腸がんおよび甲状腺がんの細胞株に見られるBRAF阻害剤、MEK阻害剤、およびBRAF阻害剤とMEK阻害剤の併用に対する耐性と関連することを示す。治療への耐性とeIF4F複合体形成の維持は、MAPKシグナル伝達の再活性化、阻害性eIF4F結合タンパク質4EBP1のERK非依存的リン酸化の持続、あるいはアポトーシス促進性BCL-2修飾因子(BMF)依存的なeIF4G分解の増加という3つの機構のうちの1つと関連する。我々は、eIF4E–eIF4G相互作用をin situで検出する方法を開発し、eIF4F複合体の形成が、BRAF阻害療法に反応する腫瘍では治療前に比べて減少しており、耐性を示す転移腫瘍では増加していることを明らかにした。意外なことに、eIF4E–eIF4G相互作用の遮断もしくはeIF4Aの標的化によるeIF4F複合体の阻害は、BRAF(V600)の阻害と相乗的に働いて、がん細胞を殺傷した。eIF4Fは、自然耐性と獲得耐性の両方の指標になる可能性があるだけでなく、有望な治療標的でもある。BRAF(またはMEK、あるいはその両方)を標的とする薬剤とeIF4Fを標的とする薬剤を併用すれば、BRAF(V600)変異型がんで生じる耐性機構の多くを克服できる可能性がある。

