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有機化学:三核チタンヒドリド錯体によるベンゼンの炭素–炭素結合切断および骨格変換反応

Nature 512, 7515 doi: 10.1038/nature13624

遷移金属による炭素–炭素(C–C)結合の切断反応は、石油やバイオマスなどの天然資源からガソリンや基礎化学品などを作る際に極めて重要な反応である。C–C結合は非常に安定で、多くの反応条件下で反応性に乏しい。工業的なナフサの水素化分解工程では、固体触媒表面上でベンゼンの芳香族炭素骨格のC–C結合切断と骨格変換を経て、メチルシクロペンタンや鎖状飽和炭化水素に変換することができる。しかし、これらの化学変換は、通常高い温度を必要とする上、選択性に乏しい。ある種の微生物は温和な条件下で芳香族化合物を分解できるが、その機構は詳しく知られておらず、人工的な模倣が難しい。これまで報告されている遷移金属錯体を用いたC–C結合切断反応は、環ひずみの解消、芳香環の形成、キレート効果によるシクロメタル化、β-炭素脱離などの特殊な反応であり、遷移金属錯体によるベンゼンのC–C結合切断反応は報告されていない。今回我々は、三核チタンポリヒドリド錯体によるベンゼンのC–C結合の切断と骨格変換反応について報告する。このベンゼン環は、複数のチタン活性部位による芳香族炭素骨格の切断を経て、順次メチルシクロペンテニル種、2-メチルペンテニル種へと変換される。我々の結果は、多核チタンヒドリド錯体が芳香環活性化のためのユニークなプラットフォームとして機能し得ることを示唆している。また、今回の結果を利用すれば、安定な芳香族化合物を変換する新触媒の設計が容易になる可能性がある。

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