量子物理学:検出されない光子による量子イメージング
Nature 512, 7515 doi: 10.1038/nature13586
情報は量子力学にとって重要である。特に、重ね合わせ状態を識別する情報が存在しない場合にかぎり、量子干渉は生じる。一方、重ね合わせ状態を識別できる情報が得られる可能性が存在するだけでも量子干渉は抑制される。本論文では、誘導放出を用いずに、誘起されたコヒーレンスを利用する量子イメージングの概念を提示し、実験的に実証する。我々の実験では、2個の異なる下方変換非線形結晶(NL1とNL2とする)を使い、おのおのを同じポンプレーザーにより励起し、一対の光子(アイドラーとシグナルと表す)を生成する。NL1において光子対が生成されれば、1個の光子(アイドラー)は画像化する物体を通過し、NL2で生成されたアイドラー振幅と重なり合う。このように、その源は定義されないままである。次に、2個の結晶から生じるシグナル振幅の干渉から、その物体の画像が現れる。画像化する物体を通過するNL1からのアイドラー光子は決して検出されないが、この物体と相互作用しないNL1とNL2からのシグナル光子のみから画像が得られる。我々の実験は、相互作用のないイメージングやゴーストイメージングなどのこれまでの量子イメージングの手法とは根本的に異なる。それは、我々の場合、物体を照射するのに使用した光子は検出される必要が全くなく、同時計数測定も必要ないためである。これによって、適切な検出器が利用できない波長域においてもプローブ光の波長を選べるようになる。これを説明するため、我々は不透明な物体と検出する光子には見えない物体の画像を示す。我々の実験は量子情報のプロトタイプとなる。すなわち、情報は決して検出されない光子によって抽出することが可能であり、その光子自身の情報も抽出することができる。

