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神経科学:ショウジョウバエの動き検出を担うON経路とOFF経路の処理特性

Nature 512, 7515 doi: 10.1038/nature13427

輝度の時空間的な変化を処理して視対象の動きの手がかりにするアルゴリズムと神経回路は、集中的に研究されてきた。有力なモデルであるHassenstein–Reichardt相関器は、空間的に分離した2つの入力チャネルで一方の入力信号を他方より遅らせて、時間差フィルタリングを行う。特定方向への動きは、こうした遅れのある輝度信号と遅れのない信号を、次の脳内の処理ステップに同時に届けるが、そこでこれらの信号は非線形的な増幅を受けて方向選択的な応答を生じる。ショウジョウバエでの最近の研究で、移動する明るい外縁と暗い外縁のどちらかに選択的に応答する2つの平行経路が見つかっている。これらの経路はそれぞれ、入来する信号に対して2つの重要な処理を必要とする。すなわち、2つの空間的入力チャネルの時間差の処理と、輝度の増加信号および減少信号の別個の処理である。今回、in vivoパッチクランプ記録により、メダラの4つのニューロン群がこの2つの処理ステップを実行していることが分かった。Mi1ニューロンとTm3ニューロンは輝度の増加に選択的に応答するが、Mi1はTm3より遅れて応答した。逆に、Tm1とTm2は輝度の減少に選択的に応答したが、Tm1はTm2より応答が遅れていた。意外にも、これらの測定結果を使ってHassenstein–Reichardt相関器モデルを制約すると、時間的な振動数同調性および明るい外縁と暗い外縁に対する特異性を含めて、動き検出器でこれまで測定されていた性質と一致する出力が得られた。従って、Mi1とTm3は明るい外縁の動きを検出する相関器で、遅れのある入力と遅れのない入力の重要な処理を行い、一方Tm1とTm2は、暗い外縁の動きの検出で同様の役割を担うと考えられる。今回のデータは、特定のメダラのニューロンが、Hassenstein–Reichardt相関器の相関演算に先立つアルゴリズムステップを用いることのできる応答の性質を備えていることを示しており、長らく探索されてきたハエの動き検出の神経基盤要素が明らかになった。

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