進化:北米のカンブリア紀層で見つかった原始的な魚類の化石
Nature 512, 7515 doi: 10.1038/nature13414
魚類の初期進化に関する情報は、中国南部のカンブリア紀前期の地層(第二統)で見つかった軟体性の標本に依存するところが大きい。こうした標本の一部は希少で、比較対象となる他の堆積層からの標本が全般的に欠如していることから、初期魚類のさまざまな特徴の解釈について、また、それらとカンブリア紀以降の骨格を持たない初期の無顎脊椎動物との幅広い類縁関係については、いまだに議論が続いている。本論文では、バージェス頁岩で見つかった新標本と、マーブルキャニオン(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)付近ならびにローレンシア由来の他の3か所のカンブリア紀バージェス頁岩型堆積物から収集された保存状態の極めて良好な標本に基づき、メタスプリッギナ(Metaspriggina)を改めて記載報告する。この原始的な魚類には、脊索、1対の突き出たカメラ眼、対をなす嗅窩、頭蓋および弓体(arcualia)と考えられる構造、W字型の筋節、そして肛門後方の尾などの脊椎動物としての明確な特徴が認められる。際立った特徴の1つは、列をなす二部構成の鰓弓を伴う鰓部である。それぞれの鰓弓は、わずかに太く見える最前部のものを除いて、体外に位置していておそらく鰓嚢に収められていた鰓と連結している。系統発生解析の結果、メタスプリッギナは、澄江動物群のハイコウイクチス(Haikouichthys)やミロクンミンギア(Myllokunmingia)に見たところ近縁な原始的脊椎動物として位置付けられ、カンブリア紀前期から中期(第二~三統)にはこの原始的魚類群が汎存種であったことも明らかになった。一方で、メタスプリッギナの鰓部の配置は、原始的脊椎動物の形態を復元する上で、さらに幅広い意味を持つ。二部構成の鰓弓は、それぞれが上鰓節および角鰓節に相当することが確認された。この構成は、二部構成の配置が原始的であることを示唆し、ヤツメウナギの鰓籠が派生的なものだとする考え方を裏付けている。メタスプリッギナの他の特徴である、鰓が体外に位置している点や、より強固な最前部の鰓弓と向かい合う鰓が欠如していると考えられる点などは、顎口類の特徴であり、脊椎動物の中でも原始的である可能性がある。

