Letter
気候:氷床の変化によって制御される氷期の急激な気候変動
Nature 512, 7514 doi: 10.1038/nature13592
更新世後期の氷期には、数多くの代理指標データから、ダンスガード・オシュガー(DO)事象と呼ばれる、千年スケールの大規模な温暖化事象が繰り返し起こったことが立証されている。氷期の急速な気候変動におけるこの普遍的な特徴は、氷床コアの記録において80万年前までさかのぼることができ、科学界や政策決定者たちの関心を広く集めている。多くの研究がこうした気候変動の根本的な原因の調査にささげられてきたが、首尾一貫した機構はまだ分かっていない。本論文では、包括的な統合モデルを用いて、北半球氷床(NHISs)の高さの緩やかな変化によって、大気海洋結合系が変化し、DO事象に極めてよく似た氷期の急速な気候変動が起こった可能性を示す。北大西洋における急激な温暖化、熱帯降水帯の北方への移動、双極シーソーに関連した南半球の寒冷化を含むシミュレートされた全球の気候応答は、経験的証拠とほぼ一致する。中間的な高さの氷床において氷期の海洋循環の2つの状態が共存する結果として、NHISsの高さと大気中の二酸化炭素の量のわずかな変化が、北大西洋における局所的な正の大気・海洋・氷床フィードバックを介して、急速な気候遷移のきっかけとなった可能性がある。従って、単一のモデルに基づくものではあるが、今回の結果から、大気海洋結合系における記録された千年スケールの変動と急激な気候変動、そしてそれらと氷期における中間的な氷床の体積の関連について理解するための首尾一貫した考えが得られる。

