Letter

がん:変異型IDH1を標的とするワクチンは抗腫瘍免疫を誘導する

Nature 512, 7514 doi: 10.1038/nature13387

IDH1(isocitrate dehydrogenase type 1)の単一対立遺伝子性の点変異は、神経膠腫のサブグループの1つなどの腫瘍の発生初期に起こる特徴的な事象である。このような変異はほぼ一様に、触媒ポケットにある非常に重要なアルギニン残基(Arg 132)に生じ、新形質である酵素機能、がん代謝物である2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)の産生、ゲノムの過剰なメチル化、遺伝的不安定性と悪性形質転換を引き起こす。びまん性グレード2とグレード3の神経膠腫の70%以上で、この最も頻度の高い変異であるIDH1(R132H)が見られる。免疫学的に見ると、IDH1(R132H)は均一性と浸透度が高く、全ての腫瘍細胞で発現している腫瘍特異的な新抗原となる可能性があり、免疫療法の標的候補である。本研究では、IDH1(R132H)が変異特異的ワクチン接種に適した免疫原性エピトープを持つことを示す。変異の生じた領域を取り囲むペプチドは、主要組織適合複合体(MHC)クラスII上に提示され、変異特異的CD4+ 1型ヘルパーT細胞(TH1)応答を引き起こす。IDH1(R132H)変異を持つ神経膠腫の患者で自然に生じたCD4+ TH1細胞と抗体は、IDH1(R132H)を特異的に認識する。マウスMHCを持たず、ヒトMHCクラスIとクラスIIを導入したトランスジェニックマウスに、IDH1(R132H) p123-142というペプチドワクチンを接種すると、MHCクラスII限定的で変異特異的な、有効な抗腫瘍免疫応答が引き起こされ、事前に樹立されたIDH1(R132H)を発現する同系腫瘍がCD4+ T細胞依存的に抑制される。IDH1(R132H)は、このような増殖の遅い神経膠腫の全ての腫瘍細胞で見られることから、変異特異的な抗IDH1(R132H)ワクチンはIDH1(R132H)変異型腫瘍に対する実行可能な新規治療戦略となるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度