材料化学:単一カイラリティー・カーボンナノチューブの制御合成
Nature 512, 7512 doi: 10.1038/nature13607
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、その並外れた特性が数多くの応用に有望なため、この20年間にわたって大いに注目されてきた。こうした特性の多くはSWCNTの構造に敏感に依存し、構造は炭素六方格子中の円周ベクトルの長さと方向を表すカイラル指数(n,m)で特徴付けられる。中でも電子物性は特に強い影響を受け、チューブはわずかに構造が変化しただけで、金属からさまざまなバンドギャップを持つ半導体へと変化する。従って、SWCNTの技術的可能性を十分活用するには、単分散「単一カイラリティー」(すなわち単一の(n,m)指数を持つ)SWCNTが必要となる。触媒設計、エンドキャップの設計、クローニング法による制御合成の他、クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、電気泳動などの方法に基づくチューブ選別によって、チューブ径の分布が狭く、所定のチューブタイプが大半を占めるSWCNTサンプルが得られてきた。しかし、真に単分散のSWCNTを効果的に得る方法は、まだ見いだされていない。この点では、鋳型分子を使用してナノチューブの直径とカイラリティーを明確に決定付ける方法が非常に有望であるが、実際の成功例はこれまでごくわずかである。今回我々は、このボトムアップ式の手法で目的のナノチューブを合成できることを示す。まず我々は、白金(111)表面上での表面触媒脱水素環化により、前駆体分子を、片側にキャップの付いた非常に短い(6,6)「アームチェア」型ナノチューブシードに変換した。次の成長段階でこれらのナノチューブシードを伸長させ、本質的に欠陥の無い単一カイラリティーのSWCNTを長さ数百ナノメートルまで合成した。我々の表面合成法が、光検出器、光起電素子、電界効果トランジスター、センサーなどの用途向けに、高度に最適化された特性を持つナノチューブ系材料を作製する手段になると期待される。

