Letter
海洋化学:水柱測定に基づく人為起源の水銀の全球海洋存在量
Nature 512, 7512 doi: 10.1038/nature13563
水銀は有毒で生物蓄積する微量金属であり、採鉱や化石燃料の燃焼などの人為的活動の結果として、環境への排出量が著しく増加している。最新のモデルのいくつかでは、こうした排出によって1500年代以降の海洋の水銀存在量が3600万〜13億1300万モル増加したと見積もられている。適切な歴史的データと天然のアーカイブがないため、こうした予測の大部分はまだ検証されていない。本論文では、大西洋、太平洋、南大洋、北極海への最近の数度の航海で得られた、溶存水銀の総量とそれ関連するパラメーターの海洋学的観測結果について報告する。北大西洋深層水とほとんどの中層水は、南大西洋、南大洋、太平洋の深層水と比べて異常に水銀に富んでおり、これは人為起源の水銀が加わった結果と考えられる。全球の海洋に存在する人為起源の水銀の総量は2億9000万 ± 8000万モルと見積もられ、その約3分の2は1000 mより浅い海水に存在する。今回の知見は、全球水銀循環に対する人為的擾乱は、人為的影響を受ける前の条件と比べて水温躍層水中の水銀量を約150%増加させ、表層水の水銀含有量を3倍にしたことを示唆している。この情報は、無機水銀種が有毒なメチル水銀に変換され、その後海洋食物網に生物蓄積される過程と深度の解明に役立つ可能性がある。

