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動物衛生:英国でのウシ結核の蔓延と管理に関する動的モデル

Nature 511, 7508 doi: 10.1038/nature13529

ウシ結核は、英国の畜産業界が直面している極めて複雑、かつ持続的で議論の多い問題であり、英国では推定で年間1億ポンド(約175億円)の損失が生じている。標準的な診断用検査の感度が低いため、感染の主要な伝播経路の決定がかなり曖昧なものとなり、それが継続中の科学的論争を激化させている。一方で、この不確実性は、感染蔓延を制限するためのアナグマ管理の必要性に関する社会的、また政治的な激しい論争をあおっている。本論文では、英国ウシ結核についての農場内伝播と農場間伝播とを組み合わせた動的、確率論的、空間的モデルを示す。農場スケールでは、このモデルは感染の確率論的伝播、環境内での感染持続、および歴史的な行政方針を模した検査法を組み込んでいる。農場間伝播は、距離が限られた環境的要素を含み、家畜追跡システム(Cattle Tracing System)に記録されたウシ個体の農場間移動によって明示的に駆動される。こうして作られたモデルは、経時的に観察される年間の感染数増加とともに、新たな地域への感染拡大も再現している。このモデルは機構的であるため、新しい事例ごとに伝播経路を推定することができる。新しく検出された事例の多くには、感染ウシの移動、環境内保菌源からの再感染、および診断検査の感度が低いことによる複数の伝播経路が関与しており、その全てがかなり大きな役割を果たしている。このことは、管理対策がもたらす結果について我々が得た結論を確証している。検討された防除の選択肢には、観察される年間感染数増加を改善する可能性があるものがほとんどなく、有効性の高さが示されたのは、全頭処分あるいは新たな全国的検査などの徹底的な戦略だけで、単一の伝播経路に注目した管理対策に高い有効性があるとは考えられない。

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