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海洋化学:北大西洋への溶存鉄供給源の定量化
Nature 511, 7508 doi: 10.1038/nature13482
溶存鉄は、海洋植物プランクトンの重要な微量栄養素であり、その利用可能な量は海洋全体にわたる一次生産力と炭素循環のパターンを制御している。しかし、海洋への鉄のさまざまな供給源の相対的な重要性はよく分かっておらず、大気中のちり、熱水噴出口、海洋堆積物からのフラックスの見積もりは数桁異なっている。本論文では、北大西洋のある断面に沿った溶存鉄安定同位体比(δ56Fe)と鉄濃度([Fe])の高分解能の断面図を提示する。さまざまな鉄の供給源は、水柱全体に存続する独特のδ56Feの特徴によって同定できる。これにより、ちり、熱水噴出活動、還元的堆積物と非還元的堆積物の放出の溶存相への相対的な寄与を計算できる。その結果、サハラ砂漠のダストエアロゾルが断面に沿った溶存鉄の主要な供給源であり、溶存鉄の71~87%に寄与していることが分かった。これに加えて、北米縁辺域の酸素化した堆積物からの非還元的放出(10~19%)、アフリカ縁辺域の還元的堆積物の溶解(1~4%)、大西洋中央海嶺における熱水噴出活動(2~6%)が鉄供給源となっている。今回のデータは、北大西洋の熱水噴出口は同位体的に軽い鉄の供給源であり、噴出した鉄は、噴出地点から数千キロメートルも移動して表層の生産性に影響を及ぼす可能性があることも示している。さまざまな鉄供給源の相対的な重要性の時間的な変化は、炭素循環と気候の相互作用に影響を及ぼす可能性がある。

