Letter

気候科学:海洋同位体ステージ11におけるグリーンランド南部氷床崩壊

Nature 510, 7506 doi: 10.1038/nature13456

寒帯の夏季日射量の変化とそれに関連した地球システムのフィードバックは、第四紀後期の間氷期に、気候と氷床のさまざまな状態をもたらした。特に、海洋同位体ステージ(MIS)11は例外的に長い間氷期で、約41万~40万年前には、全球平均海水準が現在より6~13 m高かった可能性があり、グリーンランド氷床(GIS)から大量の質量損失があったことが示唆される。しかし、この「超間氷期」における気候変動に対するGISの応答の大きさを絞り込むモデルシミュレーションはなく、限られた代理指標しかないので、気候と氷床のしきい値挙動とそれに関連する海水準上昇を評価する取り組みは妨げられている。本論文では、MIS11においてGIS南部は現在よりはるかに小さく、グリーンランド最南端に小さなアイスドームが残っていただけあったことを示す。我々は、グリーンランド南部から放出された氷河前面の堆積物のストロンチウム–ネオジム–鉛同位体組成を用いて、グリーンランド南縁沖の堆積層であるエイリーク漂礫(Eirik Drift)に堆積した陸生シルトの起源を絞り込んだ。グリーンランド南部の先カンブリア時代の基盤テレーン由来の堆積物の流入が大きく減少したことが見いだされた。これはおそらく、グリーンランド南部がほぼ完全に退氷した結果、氷河下の浸食と堆積物輸送が止まったことを反映している。数値モデルから得られた氷床配置と比較することで、MIS11においてGISは4.5~6 mの海水準に相当する体積を失ったと示唆される。これは、産業革命以前の気温より数度高かったにすぎない気候/氷床安定性のしきい値を超えた後に起きた、第四紀後期のGIS崩壊を示す証拠である。

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