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天然物創薬:アスペルギロマラスミンAはメタロ-β-ラクタマーゼによる抗生物質耐性を克服する
Nature 510, 7506 doi: 10.1038/nature13445
カルバペネム耐性を持つグラム陰性病原菌の出現と蔓延は、世界的な公衆衛生問題である。カルバペネム耐性グラム陰性病原菌が出現した根本的な要因の1つは、NDM-1などのメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)の獲得であり、この種の耐性菌出現はペニシリン系、セファロスポリン系およびカルバペネム系の抗生物質の感染症治療への使用に対する脅威となっている。これまで、カルバペネム耐性グラム陰性病原菌でカルバペネム系抗生物質に対する耐性を無効化して感受性を再獲得させる臨床用MBL阻害剤は見つかっていなかった。本論文では、真菌由来の天然物であるアスペルギロマラスミンA(aspergillomarasmine A;AMA)が、NDM-1酵素や別の臨床関連MBLであるVIM-2を迅速かつ強力に阻害することを明らかにする。AMAは、VIM型あるいはNDM型のいずれかの対立遺伝子を保持している腸内細菌科のアシネトバクター属(Acinetobacter spp.)やシュードモナス属(Pseudomonas spp.)の細菌に対するメロペネムの活性も完全に回復させた。NDM-1を発現する肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を感染させたマウスで、AMAがメロペネムの活性を効率よく回復させたことから、AMAとカルバペネム系抗生物質の併用は、MBL陽性カルバペネム耐性グラム陰性病原菌という臨床的難問に対処する治療法となり得ることが明らかになった。

