ナノ材料:固体合金触媒上における単層カーボンナノチューブのカイラリティー特異的成長
Nature 510, 7506 doi: 10.1038/nature13434
カーボンナノチューブには、応用に魅力的な多くの材料特性がある。ナノエレクトロニクス分野では、単層カーボンナノチューブ(SWNT)に関心が向けられてきた。なぜなら、カイラル指数(n, m)によって定義されるチューブ径と巻き角度がわずかに変化すると、金属状態に特有の電気伝導度から半導体状態に特有の電気伝導度へと変化が起こり、バンドギャップも変化するからである。しかし、この構造–機能関係は、構造的に純粋なSWNTを用いた場合にのみ最大限に活用できる。溶液を用いた分離法で構造範囲の狭いチューブが得られるものの、成長時に構造を制御して1種類のSWNTだけを作るという最終目標は、20年前からかなり難しいことが分かっている。化学気相成長合成過程では、カーボン原料を分解し、SWNTの核形成と成長に影響を与えるために触媒粒子を用いているが、そのような単一SWNT合成の取り組みは、触媒粒子の組成や形状の最適化を目指している。こうした方法によって、成長直後の試料において、報告された中で最も高い割合(55%)の単一カイラリティーSWNTが得られた。今回我々は、触媒としてタングステン系二元合金ナノ結晶を用いると、単一カイラリティー(12, 6)のSWNTを、92%を超える存在度で直接生成できることを示す。これまで使用された触媒とは異なり、今回の触媒は融点が高いので、化学気相成長過程時に結晶構造を維持できる。この特徴は非常に重要であると思われる。なぜなら、ナノチューブ周囲の炭素原子の配列とナノ結晶触媒の面の1つにおける触媒活性原子の配列の構造的整合性が良好であるために、(12, 6)SWNTの高選択的成長が起こることが、実験とシミュレーションの両方から示唆されているからである。我々は、触媒として最適化された構造を持つ高融点合金ナノ結晶の使用によってSWNT成長時の完全カイラリティー制御への道が開かれ、ひいてはSWNTの応用開発が促進されることを期待している。

