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構造生物学:モジュール型ポリケチド合成酵素の構造

Nature 510, 7506 doi: 10.1038/nature13423

天然物のポリケチドには、構造的特徴と生物活性が多様な、広範な種類の化合物が含まれる。I型ポリケチド合成酵素(PKS)に代表されるその生合成装置は、キャリヤードメインに共有結合でつながれた中間体に炭素原子2個ずつ直鎖状に付加して伸長する反応を触媒するモジュールと、ケト基のプロセシング反応を触媒するモジュールが連なった構造である。今回我々は、低温電子顕微鏡法を用いて、放線菌目の細菌Streptomyces venezuelae由来の完全長PKSモジュールについてサブナノメートル分解能での三次元再構成像を決定した。この構造を相同な哺乳類脂肪酸合成酵素二量体と比較すると、予想外の違いがあることが明らかになった。モジュール内キャリヤードメインは、単一の反応小室領域が形成されることで、全ての触媒部位へアクセスできるようになっている。これとは対照的に、先に働いたモジュールから次のモジュールへの輸送には、反応小室外側の別の入り口が使われ、上流のポリケチド中間体が次の伸長や修飾のために輸送される。この研究から、ポリケチド合成酵素でのモジュール内およびモジュール間での基質輸送の構造基盤が、我々が知るかぎりで初めて明らかになり、このような多機能酵素系を分子レベルで詳細に調べるための新たなモデルが確立された。

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