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神経科学:プルキンエ細胞の可塑性と小脳運動学習は複雑スパイクの持続時間によって段階的に変化する

Nature 510, 7506 doi: 10.1038/nature13282

行動学習には、神経回路内の特定部位でのシナプス強度の変化のような細胞レベルの可塑性が関与している。小脳運動学習の理論は、運動結果の誤差が登上繊維入力によって信号として伝えられ、平行繊維とプルキンエ細胞の間のシナプスに長期抑圧を引き起こすことに基づいている。しかし最近の総説で、登上繊維入力が「全か無か」の事象だとする、現在広く受け入れられている見解に疑問が投げ掛けられた。麻酔下の動物では、登上繊維からの入力によってプルキンエ細胞の活動電位に生じる複雑スパイク(CS)の持続時間には、大きな変動幅がある。また、登上繊維のバースト発火持続時間を電気的に制御すると、その持続時間に従ってプルキンエ細胞の可塑性の程度も段階的に変わる。バースト発火の持続時間は、下オリーブ核の「状態」に依存し、従って登上繊維の全体と相関している可能性がある。本論文では、覚醒行動下にある運動学習中のサルで、これらの機構が機能している可能性があることを示す。可塑性と運動学習のどちらの程度も、CS応答の持続時間に依存していた。さらに、CS応答の持続時間は、運動学習中のプルキンエ細胞集団の全体と相関する有意の信号だと思われる。学習中は、登上繊維のバースト発火が長いほどプルキンエ細胞のCS応答の持続時間が長くなり、プルキンエ細胞内へのカルシウム流入が多くなってシナプス抑圧が増大し、学習が強化されると考えられる。このような可塑性と学習に及ぼす教示的信号の段階的な影響と同じことが、神経系全般で生じているのかもしれない。

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