細胞生物学:脂質が結合した伸長型シナプトタグミンの構造から示唆される、脂質輸送における役割
Nature 510, 7506 doi: 10.1038/nature13269
近年集まりつつある証拠から、小胞体(ER)と、細胞膜(PM)などの他の膜とが近接して並置されることにより、双方の二重層の間で脂質の交換が起こることが示唆されている。そのような交換によって、小胞輸送とは無関係な脂質移動が可能になるが、交換の機構はまだよく分かっていない。脂質結合モジュール候補と考えられているのは、SMP(synaptotagmin-like mitochondrial-lipid-binding protein)ドメインである。このドメインは、膜接触部位に局在するいくつかのタンパク質に存在することから、脂質輸送に関係している可能性が高まっている。SMPを持つタンパク質には、ERMES複合体の構成成分、小胞体ミトコンドリア係留複合体(ER–mitochondrial tether)の構成成分、そして小胞体細胞膜係留複合体(ER–PM tether)の構成成分である伸長型シナプトタグミン(酵母ではトリカルビンとして知られる)がある。今回我々は、ヒトの伸長型シナプトタグミン2(E-SYT2)の、SMPドメインと2つの近接したC2ドメインを含む断片の結晶構造を2.44 Å分解能で示す。SMPドメインは、TULIP(tubular-lipid-binding)スーパーファミリー中のタンパク質モジュールと似たβバレル構造を持つ。SMPドメインは二量体となって約90 Åの長さの円筒を形成しており、その内部には、疎水性残基だけで裏打ちされたチャネルが通っている。また、2つのC2A–C2B断片は、SMPドメインに柔軟に結合するアーチ状の構造を形成している。重要なことに、質量分析で補完された構造解析により、E-SYT2のSMPチャネル中にグリセロリン脂質が存在することが明らかになり、E-SYTが脂質輸送に直接の役割を果たしていることが示唆された。これらの知見は、SMPドメイン含有タンパク質が膜接触部位での脂質移動の制御に果たす役割の強力な証拠となり、小胞体と細胞膜が近接して並置している場合以外にも、より広く関わってくる。

