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地球科学:シリカ濃縮が沈み込み帯ゆっくり地震の周期性を制御している可能性

Nature 510, 7505 doi: 10.1038/nature13391

沈み込み帯前弧における地震観測と測地観測は、間欠的な微動とすべりを含むゆっくり地震が、6か月以下から2年以上の間隔で繰り返し起こることを示している。北米のカスケイディアでは、ゆっくりすべりは走向に沿って分割されており、微動データは、プレート境界の深さが深くなるとともに、まれにしか起こらない大きなすべりから、頻繁に起こる小さなすべりへと緩やかに変化することを示している。ゆっくりすべりと微動の観測結果とモデルは、ゆっくり地震の震源地域で地盤空隙流体圧に近い圧力が存在することを要求しているが、再来間隔の変動性を支配している要因の直接証拠をつかむのは難しい。本論文では、ゆっくり地震が繰り返し起こっている沈み込み帯前弧で得られた地震データを収集し、震源の上にある前弧地殻のP波速度とS波速度の比(vP/vS)の平均値は1.6と2.0の間にあり、ゆっくり地震の平均再来間隔と線形的に相関していることを示す。北カスケイディアでは、前弧のvP/vS値はプレート境界の深さが深くなり、微動の再来間隔が短くなるとともに減少している。vP/vS値が低いことから、主に苦鉄質の前弧環境で石英が大規模に加わっている必要がある。我々は、スラブ起源流体からの5~15体積%のシリカの濃縮と、石英岩脈における上向きの鉱化によって、観測されたvP/vS値の範囲と、vP/vSの傾斜方向の減少を説明できると提案する。シリカの溶解度は温度に依存し、前弧地殻底近傍では堆積が優勢である。我々はさらに、シリカに富んだ断層粘土における溶解–沈殿クリープによる回復と透水性の低下の強い温度依存性によって、シリカ濃縮の進行とともに微動再来間隔が短くなることを説明できると提案する。高温での断層粘土の透水性の低下は、急速な流体過圧の発達と実効断層法線応力の低下をもたらすため、再来間隔が短くなる。この結果は、空隙空間の増大につれて流体圧力が低下することで生じる、断層帯のダイラタンシー強化によるすべり安定化の数値モデルとも一致する。このことは、温度に依存するシリカの堆積、透水性の低下、流体過圧の発達がダイラタンシーとゆっくり地震のふるまいを制御していることを示唆している。

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