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物理化学:氷の均一核形成温度以下における水構造の超高速X線プロービング

Nature 510, 7505 doi: 10.1038/nature13266

水には特異な物理特性が多くあり、その内のいくつかは凝固点以下へ過冷却すると大きく強化される。特に、正常成分と、約228 Kで発散するように見える異常成分を使って記述できる熱力学応答関数に関心が集まっている。このことから、水の特異な熱力学特性の多くの説明を目指す相反する複数の理論について論争が起こっている。有力な説の1つでは、この発散が、氷の均一核形成温度(TH)である約232 Kと、約160 Kの間にあるいわゆる「ノー・マンズ・ランド」で生じる2つの形態の液体水の間の相転移に起因するとしている。そして、この場合、急激に氷が結晶化するため、バルク液相のいかなる測定もできない。実際に、液体水の構造を確実に決定するには一般的に約250 K以上の温度が必要である。ナノ閉じ込め、ナノ液滴、生体分子との会合を使って水の結晶化が抑制され、TH以下の温度で液体試料が得られているが、そうした測定は、閉じ込め表面との相互作用によってバルク水との関連が不明確になる、ナノスケールの体積の水に依存している。今回我々は、フェムト秒X線レーザーパルスを使って、TH以下の温度に蒸発冷却したマイクロメートルサイズの液滴における液体水の構造を調べ得ることを実証している。これまでほとんど調べられていないノー・マンズ・ランドにおいて、最低で227+2−1 Kの温度まで準安定なバルク液体水が存在することを示す実験的証拠が見いだされた。さらに、約229 Kまで過冷却すると、構造の秩序化が連続的かつ加速的に進み、氷結晶を含む液滴の数が急激に増加することが観察された。しかし、この温度でもいくつかの液滴は数ミリ秒間液体にとどまっていた。こうした観察結果と今回の詳細な構造データが、水のふるまいを最もよく記述し、説明する理論を特定するのに役立つと期待される。

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