生化学:リボソームのオキシゲナーゼは、原核生物からヒトまでその構造が保存されている
Nature 510, 7505 doi: 10.1038/nature13263
2-オキソグルタル酸(2OG)依存性オキシゲナーゼは、N-メチル化クロマチン成分の脱メチル化を介して遺伝子発現の調節に重要な役割を果たし、転写因子やスプライシング因子の水酸化にも重要な役割を担っている。最近、転移RNAとリボソームタンパク質の水酸化を触媒する2OG依存性オキシゲナーゼが、細胞増殖に関わる翻訳、TH17細胞の分化、翻訳精度に重要な働きをしていることが明らかにされた。原核生物からヒトまでの多様な生物にリボソームオキシゲナーゼ(ROX)が見られるという知見によって、それらの構造的関連や進化上の関係性が問われるようになっている。大腸菌(Escherichia coli)では、YcfDがリボソームタンパク質L16のアルギニン水酸化を触媒する。ヒトでは、MINA53(MYC-induced nuclear antigen;別名MINA)と核小体タンパク質66(NO66)が、それぞれリボソームタンパク質RPL27AとRPL8のヒスチジン水酸化を触媒する。個々のROX機能の解明により、ROX阻害あるいは修飾の程度が異なるリボソームの標的化を治療に利用できる可能性が開かれた。原核生物のROXと真核生物のROXでは残基やタンパク質の選択性に差異があるが、大腸菌のYcfDと海産性好熱性細菌であるRhodothermus marinusのYcfDの結晶構造と、ヒトMINA53およびヒトNO66のそれとの比較から、高度に保存された折りたたみ構造と、2OG依存性オキシゲナーゼの新しい構造サブファミリーの特徴となる新規な二量体形成様式が明らかになった。基質が結合した状態と結合していない状態のROXの構造から、ROXが脱メチル化酵素ではなく、水酸化酵素として機能していることが裏付けられ、またこのサブファミリーがどのように進化して、リボソームタンパク質の多様な残基側鎖の水酸化を触媒するようになったかが明らかになった。ROXの結晶構造を、低酸素誘導因子アスパラギン水酸化酵素FIHやヒストンNε-メチルリシンデメチラーゼなどの他のJmjCドメイン含有水酸化酵素と比較することにより、2OG依存性オキシゲナーゼの進化の分岐点が明らかになり、翻訳装置、転写装置の修飾を触媒するJmjCドメイン含有水酸化酵素と脱メチル化酵素とが区別できるようになった。これらの構造から、鉄に結合した基質酸化分子種の作用する配位位置の変化によって、新しいタンパク質水酸化活性が生じる可能性が明らかになった。おそらくこのような配位の融通性が、オキシゲナーゼによって触媒される幅広い反応の進化を助けたと考えられる。

