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細胞生物学:mTORC1は静止状態の幹細胞のG0期からGAlert期への適応的移行を制御する

Nature 510, 7505 doi: 10.1038/nature13255

多くの成体幹細胞が持つ特異な性質の1つは、細胞周期から外れた静止状態でいられる能力である。こうした静止状態は、組織の恒常性や修復に幹細胞が必要になるときまでその機能を維持するのに極めて重要な役割を担っているが、静止状態の異常は組織の機能障害につながる可能性がある。幹細胞が静止状態をどの程度調節できるのかはよく分かっていない。本論文では、幹細胞の静止状態が、G0期と、我々が「alert(警戒)」期と名付けたGAlert期の、機能的に異なる2つの期で構成されていることを示す。幹細胞は、損傷に誘発された全身性シグナルに応答して、この2期の間を能動的かつ可逆的に移行する。我々は、筋幹細胞(衛星細胞)に特異的な遺伝学的マウスモデルを用いて、衛星細胞のG0期からGAlert期への移行には、mTORC1の活性化が必要かつ十分な条件であり、また、HGF受容体のcMetを介したシグナル伝達も必要であることを示す。さらに、いくつかの静止状態幹細胞集団でもG0期からGAlert期への移行があることが明らかになった。GAlert期へ移行する静止状態の幹細胞は、組織再生機能が亢進している。我々は、静止状態の幹細胞のGAlert期への移行は、損傷やストレスの条件下で幹細胞を迅速に応答させる適応的応答、つまりある種の「警戒」機構として機能し、幹細胞を細胞周期への進入に備えさせていると考える。

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