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がん:SMYD3はMAP3K2のリシンのメチル化とRas誘導性のがんを結び付ける

Nature 510, 7504 doi: 10.1038/nature13320

リシンメチル化シグナル伝達の脱調節は、がんの発生病理における一般的な発病因子であることが明らかになり、複数のヒストン・リシンメチルトランスフェラーゼ(KMT)の阻害剤が化学療法剤として開発されている。主に細胞質に存在するKMTであるSMYD3(SET and MYND domain containing protein 3)は多数のヒト腫瘍で過剰発現している。しかし、SMYD3ががん経路を調節する分子機構や、in vivoでのSMYD3と腫瘍形成との関係はほとんど分かっていない。本論文では、MAP3K2のSMYD3によるメチル化がMAPキナーゼシグナル伝達を増強し、Ras誘導性のがん腫形成を促進することを示す。膵管腺がんおよび肺腺がんのマウスモデルを用いて、SMYD3の触媒活性の除去が、発がん性Rasに応答した腫瘍形成を阻害することが分かった。さらにタンパク質アレイ技術を用いて、MAP3K2キナーゼがSMYD3の標的であることが明らかになった。がん細胞株では、SMYD3が仲介するMAP3K2のリシン260メチル化が、Ras/Raf/MEK/ERKシグナル伝達モジュールの活性化を増強し、また、SMYD3の除去はMEK阻害剤と相乗的に働いて、Ras誘導性の腫瘍形成を阻害する。そして、MAPキナーゼ経路の主要な負の調節因子であるPP2Aホスファターゼ複合体はMAP3K2に結合し、この相互作用がメチル化によって遮断される。まとめると我々の結果は、細胞質のキナーゼシグナル伝達カスケードの統合におけるリシンメチル化の新しい役割を明らかにしており、また、発がん性Rasシグナル伝達の調節にSMYD3が果たす非常に重要な役割を立証している。

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