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細胞:ヒト胚性幹細胞由来心筋細胞による非ヒト霊長類心臓の再生
Nature 510, 7504 doi: 10.1038/nature13233
多能性幹細胞は、ヒト心筋細胞を提供して心臓再生を助けることにより、現在の高い心不全発生率に対する有望な解決策を提供する可能性がある。小動物モデルでのヒト胚性幹細胞由来心筋細胞(hESC-CM)の研究からは、このような治療が効果的であることが示されている。しかし、臨床規模のhESC-CMの移植が実施可能であるか、安全であるか、あるいは心筋の十分な再生をもたらすことができるかは分かっていない。今回我々は、hESC-CMは臨床規模(1バッチ当たり10億細胞以上)で作製でき、生存力を保ったまま凍結保存可能であることを示す。非ヒト霊長類の心筋虚血後再灌流モデルを用いて、凍結保存した10億個のhESC-CMを心筋内注入することにより、梗塞心臓で広範囲に再筋肉化(remuscularization)が起こることを示す。hESC-CMは、3か月にわたって成熟へと進んでいくが完全には成熟しなかった。移植細胞は宿主の血管により還流され、移植後2週間以内に移植細胞と宿主の心筋細胞間に電気力学的結合が成立した。移植細胞が宿主の心電図と同期する規則的なカルシウムトランジエントを示し、電気力学的な共役が示唆されたことは重要である。小動物モデルとは対照的に、hESC-CM移植霊長類では致死的でない心室不整脈が観察された。従って、hESC-CMはサルの梗塞心臓のかなりの部分を再筋肉化することができる。これに相当するヒト心臓の再筋肉化が可能であるはずだが、合併症として不整脈が出現する可能性を克服する必要がある。

