がん:去勢抵抗性前立腺がんにおけるBETブロモドメインタンパク質の治療標的化
Nature 510, 7504 doi: 10.1038/nature13229
転移性の去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)を発症した患者の予後は極めて悪い。アンドロゲン除去療法後のCRPCへの進行は、主にアンドロゲン受容体(AR)シグナル伝達の調節異常によって促進される。アビラテロンや、MDV3100(別名エンザルタミド)をはじめとする第二世代の抗アンドロゲン剤など、最近承認されたARシグナル伝達を標的とする治療薬が成功を収めているものの、それらに対する応答性の持続は限られたものであり、これはおそらく抵抗性が獲得されるためだと思われる。最近、BRD4のアミノ末端ブロモドメインを標的とする2つの選択的な低分子阻害剤JQ1とI-BET762が、さまざまな悪性腫瘍で増殖抑制作用を示すことが明らかになった。本研究では、ARシグナル伝達能のあるヒトCRPC細胞株が、BET(bromodomain and extraterminal)タンパク質の阻害に対して選択的感受性を持つことを示す。BRD4はARのN末端領域と物理的に相互作用し、JQ1での阻害が可能である。JQ1は、直接的なARアンタゴニストであるMDV3100と同様に、ARの標的遺伝子座への誘導を阻害した。しかしMDV3100とは対照的に、JQ1はARの下流で作用して、ARの標的遺伝子座へのBRD4の局在や、TMPRSS2-ERG遺伝子融合とそのがん遺伝子活性の誘導などのARが介在する遺伝子転写を、より強力に阻害した。BETブロモドメインのin vivoでの阻害は、CRPC異種移植マウスモデルにおいてARに対する直接的な拮抗作用よりも有効だった。総合すると今回の結果は、進行前立腺がんで発がん促進因子を協調的に阻害するための新規なエピジェネティクス手法につながるものである。

