細胞:ストレス下では小胞体ストレス応答が造血幹細胞プールの完全性を支配する
Nature 510, 7504 doi: 10.1038/nature13228
血液系は、自己複製能により長期生存する造血幹細胞(HSC)のプールによって維持されている。HSCは寿命が長いために、活性酸素種(ROS)、栄養の変動およびDNA損傷などのストレス刺激に曝露されることになる。ストレスを受けたHSC内で起こる損傷は、機能喪失あるいは白血病発生のリスクを高める発がん性変異を持つクローンの存続を防ぐために厳密に制御されねばならない。細胞がその生存期間を通じて完全性を維持することが重要であるにもかかわらず、HSCプールがこれを達成する仕組み、および個々のHSCがストレスに応答する仕組みについてはほとんど分かっていない。多くの原因によるストレスにより、誤って折りたたまれたタンパク質が小胞体に蓄積されると、それに続いて小胞体ストレス応答(UPR)が活性化されて、細胞はストレスの解消あるいはアポトーシスの開始のどちらかができるようになる。本論文では、ヒトHSCは、小胞体ストレス後に、UPRのPERK分岐経路の強力な活性化を介したアポトーシスを起こしやすい傾向があるが、一方、HSCに非常に近縁な前駆細胞は、生存につながる適応応答を示すことを明らかにする。コシャペロンERDJ4(別名DNAJB9)の過剰発現により小胞体タンパク質の折りたたみを亢進させると、異種移植アッセイではHSCの生着能が向上することから、HSC機能にUPRが関連していることが示される。UPRには異なる原因のストレスが集中するため、我々の研究は、ストレスシグナル伝達が、どのように組織ヒエラルキー内で調整され、幹細胞性に統合されるのかを理解する枠組みを提供する。これらの知見は全体として、HSCプールがストレスを受けた個々のHSCを除去して傷害された幹細胞の増殖を防ぐことによりクローンの完全性を維持していることを明らかにしている。

