Letter
気候:局地的な蒸発と海氷の後退に関連した北極域の降水量の将来の増加
Nature 509, 7501 doi: 10.1038/nature13259
21 世紀末に予想される降水量変化は、北極域では50%を超える増加を示している。この著しい増加は、全球で最も大きなものの1つであり、これまで、低緯度域から極方向への水蒸気輸送が強まることに主に起因すると考えられてきた。今回我々は、最先端の全球気候モデルを用いて、21世紀において予測される北極域の降水量の増加は、晩秋から冬にかけて最大になり、その主な原因は局地的な表面蒸発が大きく増大する(冬季に最大)ことで、低緯度域からの水蒸気流入量の増加(晩夏から秋季に最大)の寄与の程度はより小さいものでしかないことを示す。さらに我々は、表面蒸発の増大は、主に冬季の海氷の後退に起因し、北極の水循環の活発化の証拠であることを示す。このことは、北極域の降水量の増加と、北極域の温暖化と海氷の減少が確実に関連していることを立証している。結果として、北極域の平均降水感度(気温が1 K上昇するごとに降水量が4.5%増加)は、全球平均値(1 Kにつき1.6~1.9%)よりはるかに大きくなる。これに伴う北極域降水量の季節的に変化する増加は、河川の流量と氷床への降雪量を増大させる可能性が高く(その結果全球の海水準に影響を与える)、北極海の淡水化とその後の大西洋の南北方向の鉛直循環の変化を通して全球気候に影響を与える可能性すらある。

