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構造生物学:多剤排出ポンプAcrAB–TolCの構造
Nature 509, 7501 doi: 10.1038/nature13205
多くの細菌種が抗生物質などの毒物に対して示す耐性の一部は、エネルギー依存性の輸送体によっている。グラム陰性菌では、このような輸送体の多くは内膜と外膜両方を貫く、多成分からなる「ポンプ」を形成していて、ポンプは一次性輸送体成分あるいは二次性輸送体成分によってエネルギーを供給されて駆動している。このようなポンプのモデルの1つが大腸菌(Escherichia coli)のアクリジン耐性複合体である。このポンプは、外膜チャネルのTolC、内膜に位置する二次性輸送体AcrBと、これら2つの膜内在性タンパク質を結び付けているペリプラズム中の成分AcrAで構成されている。排出ポンプであるAcrAB–TolCには、化学的類似性のほとんどない多様な化合物の方向性の決まった輸送を行うことができ、幅広い抗生物質に対する耐性を生じさせる。これと類似した複合体は、動植物の病原体などの多くのグラム陰性菌に見られる。ポンプの個々の成分については結晶構造が得られており、それらから基質の認識やエネルギー共役、輸送過程に関連したコンホメーション変化についての手がかりが得られている。しかし、ポンプ内でのサブユニットの配置やその化学量論的関係、相互作用の詳細については解明されていない。本論文では、調節タンパク質と複合体を形成した、大腸菌由来の完全な形の多剤排出ポンプの疑似原子構造を示す。このモデルによりポンプの四次構造が明らかになり、重要なドメイン相互作用が突き止められ、チャネルの集合と開口が協同的に進むことが示唆された。これらの知見は、多数の病原性細菌に見られる薬剤耐性の基盤を明らかにしている。

