Letter

気候:カナダ北東部とグリーンランドにおける近年の急速な北極域の温暖化に対する熱帯の強制

Nature 509, 7499 doi: 10.1038/nature13260

北極海の急速な温暖化と海氷の減少は、人為的な気候変動に起因していると広く考えられている。海氷の減少などの力学的フィードバックや放射フィードバックを含むフィードバックのために、北極域の温暖化は全球の平均的な温暖化を上回っている。我々は、1979年以降の北極域の地表と対流圏の最も著しい年平均の温暖化はカナダ北東部とグリーンランドで起きたことを見いだしている。こうした地域では、気温の年々変動の大部分は、北大西洋における大規模循環変動の主モード、すなわち北大西洋振動と関係している。本論文では、この地域における近年の温暖化は北大西洋振動の負の変化傾向と強く関係しており、熱帯太平洋で生じるロスビー波列の活動偏差に対する応答であることを示す。熱帯の海面水温を指定した大気モデル実験により、カナダ北東部とグリーンランドにおいて観測された循環の変動と、これに関連する対流圏と地表の温暖化がシミュレートされた。人為的な強制を指定した第5次結合モデル相互比較プロジェクトのモデルによる実験では、北大西洋振動に関係する類似した循環の変化やこれに関連する対流圏の温暖化は見られなかった。このことから、北極域のカナダ北東部とグリーンランドにおける近年の温暖化のかなりの部分は、強制起源でない自然変動であることが示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度