医学:リステリア菌は貪食除去を利用して細胞から細胞への伝播を促進する
Nature 509, 7499 doi: 10.1038/nature13168
貪食除去(efferocytosis)は、死にかけた細胞や死んだ細胞をファゴサイトーシスによって除去する過程のことで、発生、組織の恒常性、自然免疫に重要な役割を果たしている。貪食除去の一部は、膜の非対称性が失われた後に細胞や細胞残渣の細胞外表面に露出したホスファチジルセリン(PS)に結合する受容体によって行われる。今回我々は、病原性細菌であるリステリア菌(Listeria monocytogenes)が、貪食除去の過程を利用して感染中に細胞から細胞へ伝播することを明らかにした。この細菌は、孔形成性毒素であるリステリオリシンO(LLO)と2種類のホスホリパーゼCを使って、宿主細胞のファゴソームから脱出することができる。リステリア菌は細胞表面タンパク質ActAを発現することにより、宿主のアクチン調節因子を活性化して細胞質内でアクチンを使って移動でき、最終的にはアクチンが多く含まれる突起を細胞表面に形成する。今回我々は、この突起形成がLLOの孔形成活性による細胞膜の損傷と関連していることを明らかにした。LLOはまた、細菌を含む突起が宿主細胞から遊離するのを促進するので、細胞外表面PSを持つ細胞膜由来の小胞が形成される。PSに結合する受容体TIM-4(Timd4遺伝子にコードされる)は、in vitroでマクロファージ中のリステリア菌が細胞から細胞へと効率よく伝播するのに関わっていて、Timd4−/−マウスではリステリア菌の増殖が障害される。つまり、リステリア菌は、宿主内での伝搬を貪食除去過程を使って促進している。これらの結果は、リステリア菌や同様な戦略を使って細胞から細胞へと伝播する他の細菌による感染と闘うのに、PSを標的とする治療法が有用となる可能性を示している。

