Letter

気候科学:熱帯インド洋の気候に対する北大西洋の強制

Nature 509, 7498 doi: 10.1038/nature13196

北大西洋の急激な気候変動事象に対するインド洋熱帯域の気候応答については、議論の的になっている。熱帯収束帯の移動が北大西洋の寒冷期における熱帯の水文気候変動の原因だったと考えられているが、インド洋のモンスーン域の外側における分解能の高いデータが不足しているため、この遠隔関係やその根本的な機構を十分に解明できなかった。本論文では、ハインリッヒ亜氷期とヤンガードライアス期における大西洋の南北方向の鉛直循環の減速が、上昇域(熱帯収束帯)の南方移動や南インド洋における全体的な弱まりを含むハドレー循環の変化を通して、熱帯インド洋の水文気候に影響を及ぼしていたことを示す。今回の結果は、海洋同位体ステージ2と3の境界条件の下での大西洋循環の減速の気候モデルシミュレーションと組み合わせて、年代がよく同定された熱帯東部インド洋堆積物の過去4万5000年のアーカイブにおける新しい高分解能の海面水温記録と海水酸素同位体記録に基づいて得られたものである。海盆の東部と西部に同様の条件を与えると、熱帯インド洋の水文気候における千年スケールの事象の支配的な強制力として東西方向の双極子構造は除外される。今回のシミュレーションと代理指標データから得られたこうした結果から、北大西洋の寒冷期において、北インド洋域は乾燥し、南インド洋域は湿潤で温暖だったことが示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度