細胞:Foxc1は造血幹/前駆細胞ニッチの形成に極めて重要な調節因子である
Nature 508, 7497 doi: 10.1038/nature13071
造血幹・前駆細胞は、骨髄のニッチとして知られる特別な微小環境によって維持される。多くの研究から、骨髄で造血幹細胞のニッチを構成するさまざまな候補細胞が明らかにされている。それらの細胞には、骨芽細胞、内皮細胞、シュワン細胞、α平滑筋アクチンを発現するマクロファージおよび間葉系前駆細胞[CXCケモカインリガンド(CXCL)12を豊富に発現するCAR(CXCL12-abundant reticular)細胞、SCFを発現する細胞、ネスチンを発現する細胞および血小板由来増殖因子受容体α(PDGFR-α)+Sca-1+CD45−Ter119−(PαS)細胞など]が含まれている。しかし、ニッチを形成する分子機構は全く明らかになっていない。本論文では、転写調節因子Foxc1が、発生中および成体の骨髄でin vivoでの造血幹・前駆細胞の維持に不可欠な脂肪・骨芽細胞前駆細胞であるCAR細胞に選択的に発現していることを見いだした。また、胚発生期より骨髄の全間葉系細胞あるいはCAR細胞でFoxc1を欠損させると、骨芽細胞は正常のように見えるが、造血幹・前駆細胞は著しく減少し、CAR細胞も減少して骨髄腔内は脂肪細胞に占有されていた(黄色脂肪骨髄)。さらに、成体マウスでFoxc1の欠損を誘導すると、造血幹・前駆細胞は著しく減少し、CAR細胞でのCXCL12およびSCFの発現は低下したが、黄色骨髄への変化は起きなかった。これらの知見より、CAR細胞前駆細胞の脂肪細胞への分化の抑制にFoxc1が必須の役割を持つことが示唆される。また、Foxc1は、CXCL12およびSCFの発現を増加させ、CAR細胞を形成すると考えられる。この研究によって、Foxc1が、造血幹・前駆細胞の間葉系ニッチの形成と維持に不可欠の特異的な転写調節因子であることが明らかになった。

