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気候科学:メタンフラックスは微生物規模から生態系規模まで一貫した温度依存性を示す

Nature 507, 7493 doi: 10.1038/nature13164

メタン(CH4)は重要な温室効果ガスで、単位質量当たりの地球温暖化係数(GWP)100年積分値は二酸化炭素(CO2)の25倍である。最近の計算から、大気中へのCH4放出は、産業革命以前からの地球温暖化のほぼ20%を引き起こしたと考えられている。従って、予想される全球的な温度上昇に対して生態系からのCH4放出がどのように応答するのかを明らかにすることは、炭素循環が気候変動を緩和するのか、それとも加速するのかどうかを予測するための基礎となる。メタン生成は有機物の再無機化の最終段階に当たり、偏性嫌気性古細菌によって行われ、他のほとんどの代謝形態と同じように温度依存性である。しかし、この生理的応答が他の生物過程(例えば、メタン酸化性、基質供給、微生物群集の組成)や非生物過程(例えば、地下水位)とどのように組み合わさって生態系レベルでCH4放出の温度依存性を決定するのかはまだ分かっていない。また、生態系レベルでのCH4放出が、光合成や呼吸のような、炭素循環における他の主要なフラックスとは根本的に異なる温度依存性を持つかどうかについても分かっていない。本論文では、メタ解析の手法を使って、多様な生態系由来のCH4放出に見られる季節的変動が、メタン生成菌や嫌気性微生物群集の純培養に由来するCH4産生に類似した平均温度依存性を示すことを明らかにする。この平均温度依存性[0.96電子ボルト(eV)]は、0°Cと30°C間での57倍の増加に相当し、これまでに呼吸(約0.65 eV)や光合成(約0.3 eV)で観察されている値よりもかなり高い。その結果として、CH4放出とCH4放出のCO2放出に対する比の両方が、温度の季節的上昇に伴って顕著に増加することを示す。我々の知見は、水界生態系、陸上の湿地帯や水田からの温室効果ガス放出総量に対するCO2およびCH4の相対的な寄与に、地球温暖化が大きな影響を与える可能性を示唆している。

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