Letter

進化:カンブリア紀前期の懸濁物食性アノマロカリス類

Nature 507, 7493 doi: 10.1038/nature13010

活発に遊泳する大型の懸濁物食者は地球史上で複数回進化を遂げ、サメ類、エイ類、およびステム群真骨魚類といった多様な分類群から、そしてヒゲクジラ類で、それぞれ独立に生じた。しかし古生代前期からは、このニッチを占める動物が見つかっていない。ステム群節足動物の一群で、カンブリア紀およびオルドビス紀で最大の遊泳動物であったアノマロカリス類は、最上位捕食者だったと一般に考えられている。今回我々は、グリーンランド北部のカンブリア紀前期層(第2統)のシリウス・パセット動物群に含まれるアノマロカリス類Tamisiocaris borealisに由来する新しい標本について報告し、その前部付属肢は懸濁物食に特化していたとする仮説を提出する。この付属肢の腹側には細長い棘が等間隔で生えており、それらの棘には長くて細い補助的な棘毛が密に並んでいる。このことは、T. borealisが微細食性(microphagous)の懸濁物食者であり、その付属肢を捕虫網のように使って、最小で0.5 mmまでの食物(カイアシ類などの中型動物プランクトンのサイズ範囲にある食物)を捕えていたことを示唆している。今回の観察結果から、大型で遊泳性の懸濁物食者は、カンブリア爆発の最中にアノマロカリス類の適応放散の一環として初めて進化したことが明らかになった。カンブリア紀前期の遊泳性懸濁物食者の存在は、植物プランクトンおよび中型動物プランクトンを含む多様な漂泳群集の存在を裏付ける証拠とともに、高い一次生産力および栄養流動に支えられた複雑な漂泳生態系があったことを示している。カンブリア紀の漂泳生態系は、従来考えられていたよりも現生のものに近かったと考えられる。

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