Letter
がん:E3リガーゼCbl-bとTAM受容体はナチュラルキラー細胞を介してがん転移を調節する
Nature 507, 7493 doi: 10.1038/nature12998
腫瘍の転移は、がん患者の死亡率の主原因であり、がん治療における重要な難問となっている。免疫系を阻害する経路を遮断する新たな治療法は、このような治療法の有効性に対する期待を復活させている。本研究では、E3ユビキチンリガーゼCbl-b(casitas B-lineage lymphoma-b)の遺伝的欠失、あるいは Cbl-bのE3リガーゼ活性を標的とした不活性化によって、ナチュラルキラー(NK)細胞が転移性腫瘍を自発的に排除できるようになることを示す。TAMチロシンキナーゼ受容体Tyro3、Axl、およびMer(別名Mertk)が、Cbl-bによるユビキチン化の基質であることが分かった。TAMキナーゼの新たに開発された小分子阻害剤による野生型NK細胞処理は治療効果があることが分かり、in vivoでNK細胞の抗転移活性が効率よく増強された。このTAM阻害剤の経口投与あるいは腹腔内投与によって、マウスの乳がんや黒色腫の転移がNK細胞依存的に顕著に減少した。さらに、抗凝固剤のワルファリンは、マウスでNK細胞のCbl-b/TAM受容体を介して抗転移活性を発揮することが分かり、これによってがん生物学における50年来の謎を分子レベルで説明することができる。この新規なTAM/Cbl-b阻害経路は、自然免疫系に働きを開始させてがん転移を阻止する「錠剤」の開発が可能と考えられることを明らかにしている。

