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気候科学:種の生息域移行の地理的限界は気候変動の速度によって示唆される
Nature 507, 7493 doi: 10.1038/nature12976
人為起源の気候変動に駆動される種多様性パターンの再構成と、それが人類に及ぼす影響については、解明も評価もいまだ不十分である。それでもなお、種分布の全球および局地規模での変化の予測に、気候条件の変化は有用である。今回我々は、気候変動の速度を用いて1960~2009年および2006~2100年の気候ニッチの空間的軌道を導き出し、それらの軌道の特性を使って種分布の変化を推論した。沿岸線は軌道の障壁として、局地的低温地域は誘引場所として働き、局地的気候条件の「ソース」地域と「シンク」地域を生み出す。気候的ソース地域とは、局地的に新規な条件がかつて同様の気候の生じた地域と連結していない場所のことであり、そのため、等温線を追いかける気候移住生物(climate migrant)にとっては到達不可能な場所となる。そうした場所は、1960~2009年では全球表面積の16%、削減なしでの継続的な化石燃料使用を想定した「従来通り(BAU)」の気候シナリオ[代表的濃度経路(RCP)8.5]では海洋の34%になる。気候的シンク地域は、気候条件が局地的に消失し、気候移住生物の移動を阻む可能性のある場所である。シンク地域は海洋面積の1.0%および陸地の3.6%に当たり、沿岸および高地に広がっている。この方法を用いて種分布の変化を推論することで、気候移住生物の生息域移動の予想される方向と速度に関する全球および地域の地図が得られ、また、種の豊かさが失われる可能性がある地域が示唆される。

