宇宙:恒星SMSS J031300.36–670839.3における金属の源としての、低エネルギーで鉄に乏しい1個の超新星
Nature 506, 7489 doi: 10.1038/nature12990
金属量(ヘリウムよりも重い元素の存在度)の極端に乏しい4つの低質量星の元素存在比からは、いずれの場合においても、それらの星を形成したガスを濃縮したのは、多くても数個の低エネルギーの超新星であり、たった1個であった可能性もあることが示されている。そのような超新星は、炭素などの大量の軽元素を生成するが、鉄はごくわずかしか生成しない。低エネルギーの超新星が支配的であることは意外に思える。その理由は、最初の星は極端に大質量であったと予測され、それらは対不安定型超新星爆発で崩壊し、銀河の鉄の存在度を急速に高めたと考えられているためである。今まで明らかになっていなかったことは、最初の超新星による鉄の生成量である。なぜならこれまで、1個の超新星による生成量を含んでいると明確に解釈される恒星はなかったためである。本論文では、SMSS J031300.36–670839.3の可視光スペクトルが、(太陽における存在度の10−7.1倍を上限値として)鉄が存在する証拠を示さないことを報告する。その存在度のパターンとモデルによるものとの比較に基づいて、初期質量が太陽の約60倍の1個の超新星からの物質を種にして星が形成された(また、超新星はブラックホールを残した)と結論付けられる。前述した4個の低金属量の星と照らし合わせると、初期宇宙では低エネルギーの超新星が一般的であり、そのような超新星が、軽元素の濃縮を生じさせ、鉄はわずかであったと結論付けられる。低エネルギーの超新星から星へのフィードバックが化学的にも力学的にも減少したことで、第一世代の星の長期間にわたる形成が可能になった可能性がある。そのような星は、宇宙の再電離の時代と初期銀河の化学進化において、おそらく重要な役割を担っていた可能性があると推測される。

