Letter
量子物理学:固体ハイブリッドスピンレジスタの量子エラー訂正
Nature 506, 7487 doi: 10.1038/nature12919
エラー訂正は古典計算や量子計算で共に重要である。量子ビットにおいては環境との避けられない相互作用によって起こるデコヒーレンスから、位相の乱れ、あるいは緩和さえも生じる。そのため、それらに伴うエラーを訂正することが、スケーラブルな量子計算の実現に必須の要件となる。エラー訂正を行うアルゴリズムは以前から知られてはいたが、実験によって実現された例は少ない。本論文では、電子スピンと核スピンという異種のスピンからなる固体スピン系を用いた量子エラー訂正を示す。初期化、射影読み出し、高速の局所的および非局所的なゲート操作の一連の操作全てがダイヤモンドのスピン系では常温常圧下でも実現できることを実証した。レジスタを構成する全ての核スピンに対する高い忠実度(99%)の初期化と個々の単一核スピンのシングルショット読み出しは、窒素空孔点欠陥の持つ電子スピンを補助スピンとして用いて行った。我々の電子–核量子レジスタに特有の新しい非局所ゲートを実行すると、3個の核スピンがもつれた状態を生成することが可能となり、その忠実度は85%を超えた。これらの手法を用いて、3キュービット位相フリップエラー訂正を実証した。最適制御パルス技術を用いることにより、上記操作の全てにおいて、フォールトトレラントな量子操作に必要とされる値に近づく忠実度が実現され、そのため大規模な量子計算への道が開かれる。我々の手法は、ダイヤモンドスピン系ばかりでなく、シリコン中のリン、量子ドット、炭化ケイ素、あるいは固体中の希土類イオンなどの系を含めて、量子ネットワークの規模拡大に使うことができる。

