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微生物学:活性化ClpPは持続生残菌を死滅させ、慢性バイオフィルム感染を根絶する

Nature 503, 7476 doi: 10.1038/nature12790

慢性感染は、抗生物質による治療が困難だが、主として薬剤感受性病原菌によって引き起こされる。この見かけの矛盾は、抗生物質の殺菌作用に耐性のある休眠状態の持続生残細胞(persister)に起因している。持続生残細胞は正常細胞の表現型変異体であるが、休眠に至る経路が多様であるため、こうした細胞に効果のある抗生物質の開発は困難である。持続生残菌はバイオフィルムにより免疫系から保護されており、慢性感染治療用の抗生物質ならば感染をそれだけで根絶できると考えられる。我々は、休眠細胞で標的を改変できる化合物によって持続生残細胞を殺せるのではないかと考えた。アシルデプシペプチド系抗生物質(ADEP4)はClpPプロテアーゼを活性化し、その結果、増殖中の細胞が死ぬことが示されている。本論文では、ADEP4によって活性化されたClpPはかなり非特異的なプロテアーゼになり、400個以上のタンパク質を分解して、細胞に自己消化を強制することで、持続生残菌を死滅させることを示す。clpPヌル変異体は高確率で出現するが、ADEP4とリファンピシンの併用により、in vitroおよび慢性感染のマウスモデルで黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)バイオフィルムが完全に根絶された。我々の知見は、従来の阻害ではなく、活性化および標的の改変という、休眠細胞を殺すための一般的な原理を示している。動物モデルでのプロテアーゼの活性化によるバイオフィルム根絶は、慢性感染の治療法の開発に向けた実際的な道を示唆している。

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