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発生生物学:自己形成したケモカイン勾配を介して起こる方向性を持った組織移動

Nature 503, 7475 doi: 10.1038/nature12635

細胞集団の方向性を持った移動は、胚発生を進める原動力である。胚発生の分野では、胚の細胞は前もって形成された化学誘因物質の勾配に従って誘導されると考える説が最も有力である。移動する細胞集団が長い距離にわたる物質勾配を必要としないで済む方法の1つとして考えられるのは、細胞が集団と共に移動する局所的勾配を自己形成するという方式である。こうした戦略ならば方向性の自己決定が可能になるだろう。しかし、内在性の誘導シグナルを可視化する方法がないために、これまでは、このような勾配の自己形成をin vivoで実証することができなかった。今回我々は、リガンドによって引き起こされる受容体の代謝回転を生きた動物の体内で測定できる蛍光タイマー法を使って、重要な誘導分子の1つであるケモカインCxcl12aのin vivoでの動態を明らかにした。ゼブラフィッシュの側線原基をモデルとして用いることにより、移動する細胞集団が、局在する受容体を介したケモカインの内部移行によって体軸に沿ったケモカイン活性勾配を自己形成できることが分かった。さらに、側線原基と共に移動する特殊な受容体Cxcr7の外部供給源を操作することにより、勾配の自己形成機構だけで、集団の移動をロバストに誘導するのに十分であることも示された。従って今回の研究は、細胞外シグナルの局所的形成によって方向を自己決定した組織移動ができることを、我々の知るかぎりで初めて、in vivoで証明したものであり、得られた知見は、がんの浸潤などのさまざまな状況下で、方向を自己決定する移動を研究するための枠組みとなるだろう。

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