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神経科学:幼少マウスフェロモンは鋤鼻系を介して性行動を阻害する

Nature 502, 7471 doi: 10.1038/nature12579

動物はさまざまな社会行動をとる。適切な行動反応がとれるかどうかは、社会的相互作用の中で受け取る感覚入力に依存して決まる。マウスの社会行動は、年齢や性別、生理学的状態に関する情報を伝えるフェロモンという化学シグナルによって引き起こされる。マウスは相手が成体マウスか、幼少マウスか、新生仔マウスかによって異なった社会行動をとるが、幼少マウスを特異的に識別するための手がかりとなる感覚刺激については明らかになっていない。本論文では、性成熟前の若いマウスが生産する、ESP22(exocrine-gland secreting peptide 22;外分泌腺分泌ペプチド)と名付けられた幼少フェロモンについて報告する。ESP22は、生後2~3週齢のマウスの涙腺から涙へと分泌される。ESP22は、別の個体によって感知されると鋤鼻器に存在する高親和性感覚ニューロンとそのさらに下流の内側扁桃体の辺縁ニューロンを活性化する。組換えESP22を雌マウスの体に塗ると、雄の成体マウスの交尾行動を強力に阻害する効果があったが、鋤鼻器の重要なシグナル伝達成分であるTRPC2を欠失するノックアウトマウスの場合には、この効果が見られない。また、TRPC2をノックアウトしたり、ESP22産生が起こらないようにすると、幼少マウスに対する成体雄マウスの交尾行動が増加し、ESP22を欠失した幼少マウスではESP22を塗ることによって、幼少マウスに対する交尾行動が抑制された。今回の結果は、性的に未熟なマウスが分泌する、先天的な社会行動を制御するフェロモンと、鋤鼻系を介する応答経路とを示し、幼少マウスに対する交尾行動の阻害に鋤鼻器を介したシグナル伝達が果たしている新たな役割を明らかにしている。これらの知見は、感覚系が行動を調節する仕組みを解明するための分子基盤となる。

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